放課後ハニー
頭を下げながら謝罪を口にしようとした彼を遮って
彼に尋ねた。
「…え?」
ぽかん、と拍子抜けした顔を私に向け、
意味がわからないと言いたげに問い掛ける。
「勝手に決めちゃうよ」
何も言わない森見くんに背を向け、私はスポーツドリンクの下のボタンを押した。
缶が滑り落ちる音がして、ルーレットが回りだす。
案の定外れたそれは『あたり』とは程遠い位置で止まり
もう一度小銭を入れて今度はホットのストレートティーのボタンを押した。
ふたつの缶が重なる音。回りだすルーレット。
屈んで缶を取り出していると、やはり今度もはずれのようで
メロディが鳴らなかった代わりに
すぐ傍で靴音が鳴った。
「先輩…」
「これでいい?」
「なんでですか…?」
差し出したそれに視線を落として、森見くんは声を震わせる。
「私も迂闊だったしね。周りが焦れるようなことしてたのはわかってるんだ」
「でも―」
「でも、昨日のあれはさすがにひどいよね」
わざとらしく頬を膨らませて彼を睨むと、
本当に泣いてしまいそうな顔で
「…ごめんなさい……」
小さく呟いた。