放課後ハニー


「どうかした?」
「先輩、出逢いの場所ってどこですか?」
「え?」
「この学校じゃないんですか?全然教えてくれなかったんで気になってたんです」
「あー…えっとねぇ…」


曖昧な返事をしたけど、一瞬の躊躇すらなく


「…内緒」


人差し指を唇に押し当てて、得意げに言い放った。
きっと基哉もそういう風に彼を押しのけたのだろう。


「そう言うと思いました」


と、諦めたように笑って再び彼は背を向けた。

聞いても教えなかったその秘密を
私が簡単に明かすわけにはいかないじゃない。


「…ね」


手中の箱を見つめながら語り掛ける。

今すぐにでも開けたいけど
今はちょっと我慢しなきゃ。
本当に貰うのは
あの場所じゃなくちゃいけない。

ドアの向こうへ消えた彼を見やり、ふと校舎を見上げた。


今日も来るだろうか…


紅茶と箱を鞄に入れ、ふと自販を見る。
確かまだ小銭はあったはずだ。


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