放課後ハニー
「その箱は?」
「基哉からのプレゼント、だって」
「え?なんで?怪談?」
「違う!森見くんが…」
思わず名前を出してハッとした。
恐々と相模を覗き見ると、微笑みながら目を伏せて
「友響ちゃんが許したのなら俺は何も言わないよ。昨日の彼が?」
と、続きを促す。
「…基哉が早くに買って、それを親に見つけられたら嫌だからって…部室のロッカーに置いてたんだって。
それを彼が保管してて…」
「ようやく友響ちゃんの手に、か。なんかつくづくロマンだねぇ~」
「しかもここで渡そうとしてたんだって」
「へぇ。それでここまで持ってきた訳」
相模の足元から少し離れた位置に座って
箱のリボンに手を掛けた。
「俺、いない方がいい?」
ちょうちょがほどけ結び目を解く。
「今更そんな気遣われる方が嫌」
「それもそうか」
ハハッと自嘲気味の笑い声がして、相模もその場に腰を下ろした。
私の手は順調に包装紙を剥がし、箱の縁を指でなぞって
一瞬息を吸い込み
蓋を開けた。