放課後ハニー
「…わ……」
赤いベルベットの上で光を放っていたのは
ベルをモチーフにしたシルバーのネックレス。
その身を取り巻くようにラインが刻まれて
真ん中に赤い石がひとつ嵌め込まれている。
相模が横から覗き込み、ひゅうっと口笛を吹いた。
「…綺麗」
手にとってみると少し重みがあって
裏には『M to U』の印字。
首に掛ければ確かな存在感を主張して胸元で光る。
思わず、相模を見た。
「…似合うんじゃない?」
惜しげもなく褒められた上に優しげに微笑まれてしまったら
なんだか気恥ずかしくなって
振り切るように勢いよく立ち上がった。
高台にある校舎の屋上は
この辺りでは一番空に近い。
届くかな。