放課後ハニー
「っ!」
一陣の風が吹き抜ける。
目を閉じた瞬間、落ちずに溜まっていた涙が零れ
背中で『危険!!』のプレートがカラカラと音を立てて揺れた。
驚いて振り返ると、相模も同じ方を向いている。
「…伝わったっぽいね」
「…奇跡って奴、信じてもいいかも」
そう呟いた瞬間相模と顔を見合わせ
ふたりして笑い出した。
「あ、やっとまともな笑顔見た」
「誰かさんがいっつも怒らせるだけよ」
「それは心外だなぁ…友響ちゃん笑ってた方が可愛いよ。眼鏡がなければもっと」
「…!」
どうしてこうも
こいつは人のノスタルジックな部分を突付くのだろう。
「そりゃどーもっ」
だけど不思議なほどに
前みたいに苛立つ事はなくなった。
悔しいけど
思ってたよりずっと
私は、相模のこと―…
「そういや友響ちゃんって誕生日いつなの?」
「今日」
「えぇっ?もっと早く言いなよ…」
「何?なんかくれるの?」
「いきなりじゃあ厳しいな。なんかあるの?欲しいもの」
「それじゃ今から間に合う国公立大学の対策でも教えて貰おうかな。センセイ?」