王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
小野君とあたしが付き合い始めた当初、周りの人間は騒然としていた。
今までどんなに可愛い女の子が小野君にアタックしても彼は決して首を縦に振ろうとはしなかった。
それどころか、女の子の呼び出しすら拒否することが多く、小野君に近付く女の子は激減した。
と、少し前に彰人君が教えてくれた。
小野君と付き合いの長い彰人君は、小野君のマル秘情報をたくさん知っている。
だからこそ、彰人君の「アユちゃんを好きすぎて」発言が嬉しくてたまらない。
傍から見たら、あたしは小野君に彼女扱いされていないように見えるかもしれない。
パシられてるだけと思うかもしれない。
だけど、あたしは案外小野君に愛されているのかも。
愛されるっていうのは言いすぎかもしれないけど、決して雑には扱われていない。
ん?でも、やっぱり雑に扱われてる?
ううん、それは違う。
きっと、小学生の男の子特有のあれだ。
好きな女の子の気を引きたくて、わざといじめてしまう……みたいな?
……ん~……でも、小野君はそんなに単純じゃないか。
だけど、あたしは小野君よりも単純だから彰人君の言葉を信じちゃうよ。
あたしはこの日、彰人君の言葉を思い出してはニヤニヤと笑ってしまった。
小野君はそんなあたしを見ては、怖いものでも見たかのように顔を引きつらせていた。