王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「帰るぞ」
すると、小野君は再びあたしの手をギュッと掴んで歩きはじめた。
いつものように素っ気ない言い方に変わりはないけれど、どこか違和感を感じる。
あたし……小野君を傷付けた?
自分からしてってお願いしたのに、小野君の胸を叩いちゃった。
もしかして……それを気にしたんじゃ……
そうだったらとしたら……。
「小野君、あのさ……――」
「別に何とも思ってない」
あたしを気遣ってか、本当に何にも感じてないのか。
ポーカーフェイスの小野君の心は全く読めない。
「またフラフラしてんぞ。前見て歩けねぇのかよ」
「……はぁい」
さっきまでの甘い時間が嘘のよう。
あたしは唇を尖らせながらしっかり前を向いて歩き出した。