王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「ねぇ、小野君ってさぁ……――」
今度はどんな質問をされるんだろうとビクビクしていると、小野君があたしの席の前にやってきて仁王立ちした。
「おい」
「あ……小野君。どうしたの?」
「……アユちゃん、またあとでね?」
周りにいたクラスメイト達は小野君に気を遣ってすぐに散らばっていく。
あー……よかった。小野君のおかげで質問攻めから解放された。
……ん?でも……――
ホッと胸を撫で下ろしている時、ふとあることに気がついた。
小野君はあたしがみんなに取り囲まれている時、必ず声をかけてくる。
だから、みんなとのお喋りは中断されるわけで……。
「今日買った缶コーヒーいくらだった?」
だけど、話しかけてきたわりに、その内容は実にくだらない。
「えっと、120円だったかな……?それがどうかした?」
「別に」
そして、いつもすぐに自分の席に戻っていく。
わざと口実をつくって、あたしの周りの女の子達を追い払おうとしているかのような小野君。
口には出さないけど、小野君はあたしが困っていることを察して、助けてくれたのかもしれない。
小野君はやっぱり優しい人だ。
いつも、ありがとう。
小野君はさっさと自分の席に戻ると、すぐに机に伏せてしまった。