王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
長く付き合っているカップルならそんな沈黙も気にならないんだろうな。
でも、あたしと小野君は違う。
「ねぇ、小野君?」
「何だよ」
「……えっと、今日はいい天気だね?」
って、全然いい天気なんかじゃない!!
どっちかっていったら、曇ってる。
もちろん、小野君もそれに気付いたようで。
空を見上げた後あたしに視線を移すと、小野君はあたしの顔をジーッと見つめた。
「あのぉ……小野君?」
小野君との間に流れるゆっくりとした時間。
こ、こ、これってもしかして……良い雰囲気なんじゃ?!
このままキスされたら……って、ダメダメ!!
突然キスなんてされたら、この場に倒れて小野君に迷惑をかけちゃうかも。
だけど……小野君にならキスされても……――。
すると、小野君はそっとあたしのおでこに手を当てた。
「お、お、小野君?!」
おでこに伝わる小野君の熱。全身が一気に熱くなって呼吸が止まりそうになる。
「熱はない」
だけど、小野君は無表情のままそう言うと、あたしのおでこからパッと手を離した。
「ねぇ、小野君……」
「何?」
「何でもないですぅ……!!」
小野君のバカ!!期待させるようなことしないでよ!!
あー……、期待し損っていうのはこういうことだ!!
唇を尖らせながら歩いていると、前方にいる一人の男が目にとまった。