王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
腕に感じる温かい小野君の熱があたしの涙腺を緩める。
鼻の奥がツンっと痛み慌てて唇を噛んでももう遅かった。
涙はあたしの意志とは関係なく頬を濡らしていた。
「……離してよ!」
大きな声でそう叫ぶと静まり返った廊下にあたしの情けない声が響いた。
泣きながら怒っても全然迫力ないじゃない。
あたしはそのまま小野君の大きな手を勢いよく振り払うと、クルッと背中を向けて走り出した。