王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「もうほっといて!!」
その声の人物は振り返らなくてもすぐに分かった。
あたしのことを「バカ」という人は小野君しかいない。
正面を向いたままでしかそんな強気なことを言えないなんて。
こんな状況でも、小野君に嫌われたくないと心のどこかで願っている。
「鞄忘れたまま帰るとかバカだろ」
小野君は「ホント、バカ」3回目のバカという言葉の後、だらしなく下ろされたあたしの手にギュッと鞄を握らせた。