王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
男が去った後、小野君は呟くように言った。
「あいつか。今朝のHRで担任が言ってた男って」
「え?今朝のHRって?」
首を傾げて聞き返すと、小野君の表情がみるみるうちに曇っていく。
「バカ女。人の話はちゃんと聞いとけ」
「はぁい……。それで担任の話って……――」
「もう教える必要はない」
「そんな……」
「それとな、ああいうバカな奴に出くわして顔を両手で塞ぐお前はもっと大バカだ」
「大バカって……」
小野君の言葉にガックリと肩を落とす。
だって、怖かったんだもん。気持ち悪かったんだもん。
何かされないかって、すごく不安だったんだもん!!
視線を足元に落として落ち込んでいると、突然頭をポンッと叩かれた。
「俺がお前の横にいる限り、お前に危害が加わることはねぇよ」
「……――えっ?それって……――」
それって、小野君があたしを守ってくれるってことだよね?
「ねぇ、小野君!!あたしを守ってくれるの?そういうことだよね?ねっ?そうだよね?」
「しつこい」
小野君の袖をグイグイと引っ張ると、小野君は眉間に皺を寄せた。
「しつこい」とは言われたけど、小野君は否定しなかった。
ということは……やっぱり……
「ムフフフ……小野君!!あたし、今ものすごく嬉しいです!!」
「勝手に言ってろ」
ニヤニヤするあたしを無視して、小野君は再び歩き出した。