王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~

歩くこと数十分。あたしは我が家を指で指した。


「あ、ここがうちだよ。もしよかったら……少し上がっていく?」


って言ってはみたものの、言ってからちょっぴり後悔する。


小野君が家に来る予定にはなっていなかったし、部屋の中は荒れ放題のはず。


あんな部屋を見られたら、小野君に幻滅されちゃうかも。



「今からバイト」


「あ……そっか。それじゃ、仕方ないね。また明日ね」


内心ホッとしながら笑顔で手を振る。


小野君は「あぁ」と小さく頷くと、すぐに背中を向けて歩き出した。



どうして今日に限って、あたしを家まで送ってくれたんだろう。


これからバイトなのに何で……?


小野君の考えてることはいつも分からないけど、今日はなおさらだ。


すると、突然、小野君がクルッと振り返った。


「お前、夜は一人で出歩くなよ」


もしかして、心配してくれてる……?


大丈夫だよ。夜出掛ける予定ないもん!



「うん!分かった!!約束ねー!!」


小野君と約束しちゃった。


大声でそう答えると、小野君は軽く右手を挙げて再び歩き出した。。

< 26 / 453 >

この作品をシェア

pagetop