王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
歩くこと数十分。あたしは我が家を指で指した。
「あ、ここがうちだよ。もしよかったら……少し上がっていく?」
って言ってはみたものの、言ってからちょっぴり後悔する。
小野君が家に来る予定にはなっていなかったし、部屋の中は荒れ放題のはず。
あんな部屋を見られたら、小野君に幻滅されちゃうかも。
「今からバイト」
「あ……そっか。それじゃ、仕方ないね。また明日ね」
内心ホッとしながら笑顔で手を振る。
小野君は「あぁ」と小さく頷くと、すぐに背中を向けて歩き出した。
どうして今日に限って、あたしを家まで送ってくれたんだろう。
これからバイトなのに何で……?
小野君の考えてることはいつも分からないけど、今日はなおさらだ。
すると、突然、小野君がクルッと振り返った。
「お前、夜は一人で出歩くなよ」
もしかして、心配してくれてる……?
大丈夫だよ。夜出掛ける予定ないもん!
「うん!分かった!!約束ねー!!」
小野君と約束しちゃった。
大声でそう答えると、小野君は軽く右手を挙げて再び歩き出した。。