王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
祭り会場から早く抜け出したいのに、人の波が邪魔をしてうまく歩けない。
履きなれない下駄で走ったからか、鼻緒が指の間に食い込んで鈍い痛みが走った。
小野君は今頃、あの女の人と花火を見ているのかもしれない。
あたしが座っていたあの場所に、今度はあの人が……
あたしはもう、小野君の隣に座ることはできないのかな?
俯きながら歩くと涙が溢れだしてしまいそうで、思わず顔を上げる。
すると、前方にいた人と視線がぶつかった。
「……直人君……?」
そう口にした時には、あたしの頬は涙で濡れていた。