王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
大っ嫌い。でも、大好き
あたしの姿を一目見ただけで異変を感じ取った直人君は友達と別れ、あたしを近くの神社まで連れて来てくれた。
「大丈夫?」
「……うん、ありがとう」
直人君は自販機で買った缶ジュースをあたしに手渡しながら、隣に腰を下ろす。
土手の近くにある神社は木が生い茂り、花火がよく見えないという理由で、人はまばらだった。
人の少ない場所を選んでくれたのは、直人君の優しさだろう。
奥の石段に腰掛けながら、直人君は手に持っていた缶コーヒーのプルリングを引いた。
「小野と何かあった?一緒に来てたんだろ?」
「……うん」
「喧嘩でもした?」
「違うの」
「じゃあ、何で?」
首を左右に振り否定すると、直人君は不思議そうに首を傾げる。