王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「帰るぞ」
すると、小野君があたしの右腕をグイッと引っ張った。
「悪い。この後の予定パス」
「おう、分かった。じゃあ、またね。……アユちゃん?」
男の子は未だに笑いを堪えているようだ。
彼の笑いのツボを踏まないように気をつけて、丁寧に頭を下げる。
「あ……はい。さようなら」
「さようならって……!どんだけ真面目!あはははは!!」
「……そんなに笑わなくても」
思わずポツリと呟いた時、小野君があたしの耳元でそっと囁いた。
「こいつを相手にしてたら朝になるぞ」
耳元で感じる小野君の甘い息。
一瞬にして、胸がキュンっと高鳴って激しく暴れ出す。
……何だか今日はすごく幸せな日だなぁ。
あたしは小野君に腕を掴まれたまま歩きだした。