王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~

「花火終わっちゃったね……?」


祭りのフィナーレを飾る花火は空を鮮やかな色に染めて、消えていく。


神社の中はあたしと直人君二人だけしかいないかのように、静まり返っていた。



「そろそろ帰る?俺が家まで送っていくから」


「大丈夫、一人で帰れるよ」


腰を上げた直人君につられ立ち上がると、直人君はあたしをジッと見つめた。


「その浴衣、似合ってるね。すごい可愛い」


「……そうかな?お世辞でも嬉しい。ありがとう」


小野君はあたしの浴衣姿を見ても、何も言ってくれなかった。


「可愛い」って台詞。小野君の口から聞きたかったな。
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