王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「土手にいる時に小野君に話しかけてた女の人は誰?!小野君とはどういう関係なの?!」
「お前、何が言いたいんだよ」
「何で電話であたしのこと隠そうとしたの?何かやましいことがあるんじゃないの?」
言いたいことを捲し立てるように喋ったため、いくらか酸欠気味になる。
肩で息をするあたしを見つめ、小野君は呆れた表情を浮かべる。
「お前が逃げ出したのはそんな理由か。くだらねぇ」
そして、吐き捨てるようにそう言うと、ようやく直人君を解放した。
「くだらない……?」
「くだらない」
「……何それ……小野君ひどいよ!!」
あたしがどんな気持ちでいたか、小野君は全く理解しようとしてくれない。
どんなに苦しい思いをしたか、全然分かってない。
……くだらない?
小野君にとってはくだらないことかもしれない。
だけど、あたしにとっては全然くだらないことなんかじゃないんだ。
「もういい……小野君なんて大っ嫌い!!」
ギュッと唇を噛み締めて小野君を睨む。
「何とでも言えよ」
小野君は無表情のままあたし達に背中を向けて、神社から出て行った。