王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
放課後になってもあたしのテンションは上がるどころか下がっていった。
「小野君、帰ろう?」
リカコちゃんは教室に入るなり、真っ先に小野君の席に向かった。
小野君はどうするつもりなんだろう。
リカコちゃんと帰っちゃうの……?
あたし、嫌だよ。小野君がリカコちゃんと帰るなんて嫌。
小野君の動向をジィーッと観察していると、小野君は席から立ち上がった。
そして、あたしの席の隣までくると、ピタリと立ち止まった。
「帰るぞ」
「……え?」
「帰るぞ、アユ」
……アユってあたしだよね?
そうだ!あたしはアユだ!!
「……うん!!」
小野君があたしを誘ってくれた。
リカコちゃんじゃなくて、あたしを選んでくれた。
そう思うと心がパアット明るくなる。
慌てて机の横の鞄を手に取って立ち上がると、リカコちゃんが小野君の腕を掴んだ。