王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
その女の人の顔に見覚えのあったあたしは思わず身構えた。
これから修羅場が始まるのかもしれない。
彼女対浮気女。もしかしたら、あたしは浮気女の方かもしれない。
心臓がバクバクと不快な音を立てて鳴り響く。
「ねぇ、壱星は先に帰ってよ」
「何でお前に命令されなきゃいけないんだよ」
「女同士で話し合いたいの」
「勝手にしろ」
「え……!ちょっと小野君!!」
小野君は一度あたしに視線を向けると「悪いな」とそれだけ言い残して歩きだす。
残されたあたしは呆然としながら小野君の背中を目で追いかける。
小野君、二人っきりにしないでよ……。
「突然ごめんなさい、ちょっと付き合ってくれる?」
ニコッと笑い掛けられて断る理由などない。
もう……どうしてこんなことに……。
「……はい」
あたしは渋々頷いた。