王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~

その女の人の顔に見覚えのあったあたしは思わず身構えた。


これから修羅場が始まるのかもしれない。


彼女対浮気女。もしかしたら、あたしは浮気女の方かもしれない。


心臓がバクバクと不快な音を立てて鳴り響く。



「ねぇ、壱星は先に帰ってよ」


「何でお前に命令されなきゃいけないんだよ」


「女同士で話し合いたいの」


「勝手にしろ」


「え……!ちょっと小野君!!」


小野君は一度あたしに視線を向けると「悪いな」とそれだけ言い残して歩きだす。



残されたあたしは呆然としながら小野君の背中を目で追いかける。



小野君、二人っきりにしないでよ……。



「突然ごめんなさい、ちょっと付き合ってくれる?」


ニコッと笑い掛けられて断る理由などない。


もう……どうしてこんなことに……。



「……はい」


あたしは渋々頷いた。


< 345 / 453 >

この作品をシェア

pagetop