王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
水族館に入りずっと機嫌の悪かった小野君。
男の子の言葉は火に油を注ぐのと一緒だ。
「お兄ちゃんは、どうして髪の毛が金色なの?ミジンベニハゼに憧れてるの?」
どうして太郎君はそんなにも「ミジンベニハゼ」にこだわるのー?!
小野君が怒りだすのは時間の問題だ。
小野君が太郎君を引っ叩いてしまったらどうしようかとあたしがハラハラしていると、小野君は腰を屈めて太郎君と同じ目線になった。
「残念だったな。俺の憧れはクログチニザダイだ」
クッと口角を持ち上げた小野君に男の子の目がキラキラと輝く。
「クログチニザダイってお魚がいるの?お兄ちゃん、お魚に詳しいんだね!」
「家に帰ったら魚図鑑でも見て調べてみろ。頑張れよ、魚博士」
「うん!博士なんて呼ばれたの初めてだ!ありがとう!」
「何だか、すみませんでした。……あ、ちょっと太郎!走らないの!!」
太郎君は気を良くしたのか、スキップ混じりに再びお母さんを置いて走り出した。