王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「小野君、クログチニザダイって魚本当にいるの?それとも適当に言ったの?」
嵐のような太郎君が去りそう聞くと、小野君は壁の写真を指差した。
【クログチニザダイ:幼魚はヤッコに凝態し……――】
写真の下にはそう説明書きがされていた。
「俺はミジンなんとかっていう魚も知らない。まず第一に魚に興味がない」
「小野君はその場を取り繕うのがうまいね。すっかり騙されちゃったよ」
でもきっと太郎君にとって小野君の言葉は温かく染み渡っただろう。
「頑張れよ、魚博士」
小野君の一言は太郎君の将来にプラスに働くような気がして。
「小野君は何だかんだ言っても、優しい人なんだね」
あたしは数歩前を歩きだした小野君に聞こえないように呟いた。