王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~

ようやくタクシーが到着して、乗り込もうとした時、


「お客さん、困るよ。そんなにびしょ濡れじゃシートまで汚れるだろう」


タクシーの運転手はあたし達の姿を見るなり露骨に嫌そうな表情を浮かべた。


「30分って言っといて来たのは1時間半後か。何分遅刻してんだよ」


「こっちにも事情があるんだ。とにかくタオルか何かで体を拭いてから乗ってよ」


「……へぇ。客待たせて、旨いもんでも食ってきたわけ?」


タクシーの車内はニンニクの匂いが充満して、鼻をつまみたいくらいで。


図星だったのか運転手はそれ以上何も言わなかった。



「……あの、これ迷惑料です」


駅に着きタクシーから降りる際、小野君が払った乗車賃とは別に千円を運転手に差し出すと、運転手は満足そうな顔でそれを受け取った。

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