王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
あたしは自分の部屋に飛び込むと、ベッドの上に寝転んだ。
『来月には引っ越すから……――』
そんな母の言葉が頭にこびりついて離れない。
今の学校に転校してきた時もそうだった。
「来月、引っ越すことになったの」
2月に入って間もない頃、何の前触れもなく母がそんなことを言いだした。
その一言で、あたしは遠い地に引っ越す羽目になった。
そこで小野君に出会えたんだから、今は結果オーライだ。
でも、今度は一体どこに引っ越すというんだろう。
家を買うということは、これから先もその地に住み続けることを意味しているんだろう。
どうしてそんな大事なことをあたしに相談しないで勝手に決めちゃうの?
あたしに小野君っていう彼氏がいることだってちゃんと知ってるくせに。
「小野君……」
あたしは真っ暗な部屋で電気も点けず、ぼんやりと小野君のことを考えていた。