王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
第六章
二人に残された時間
「ねぇ、舞子。あたしが引っ越すって言ったら驚く?」
「へ?なにそれ。アユ、引っ越すの?!」
昼休み。化粧直しをしていた舞子にそう尋ねると、舞子は驚いて目を見開いた。
「あたしもまだ詳しくは分からないんだけどね……」
今朝も、お父さんとお母さんとまともに口を聞かなかった。
勝手に家を買うなんて決めた二人への、精一杯の抵抗だった。
「アユのお父さん転勤多いって言ってたもんね。でもさ、まだアユがこっちに引っ越してきて半年も経ってないよ?早すぎじゃない?」
「だよねぇ……」
「だよねぇ、じゃないわよ。どこに引っ越すかとか親に聞いてないの?」
「突然また、どこか遠くに引っ越すって言われるのが怖くて聞けないんだ……」
視線を机に落とすと全てを悟ったのか、舞子はあたしの頭をポンポンっと叩いた。