王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
あたしは一生小野君に勝てないな、この時そう感じた。
あたしがどんなに怒っても泣いても叫んでも、小野君は平然と自分のペースに持ち込んでしまう。
それがごく当たり前のように。
引っ越すと聞いても、小野君は取り乱したりしなかった。
……小野君はあたしと離れ離れになっても平気なの?
あたしは嫌だよ。小野君と離れるなんて絶対に嫌。
小野君がいなきゃ、あたし……。
「なぁ、お前……本当に引っ越すのか?」
小野君はあたしの顔を覗き込みながらそう尋ねる。
「うん。もう家も買ったみたい……」
溜息交じりにそう答えると、小野君は歩くスピードを緩めた。