王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「なんだかパワフルなお母さんだね」
家を出て思わず苦笑いを浮かべる。
小野君はうんざりした表情を浮かべながらボソッと呟いた。
「ババァって呼びたくなる気持ちが分かっただろ」
「そんなことないよ。あたしは、小野君のお母さんの元気なところ好きだなぁ」
あたしが微笑むと小野君はさりげなくあたしの体を引き寄せる。
「なぁ、俺はいつまで小野君でいなきゃなんねぇの?」
「……え?」
「飯田のことは名前で呼ぶくせに、俺はずっと名字なんだな?」
小野君の顔が背後から来た車のヘッドライトに照らされる。
小野君……ずっと気にしてたの?
あたしが小野君に「アユ」って呼ばれないのを気にするように。
小野君もあたしに「壱星」って呼ばれないのを気にしてた?
「……壱星……」
そう呼ぶと、小野君は満足そうにあたしの体を解放した。