王様彼氏とペットな彼女!?～Heart Breaker～

「あいつを下手に殴ったら俺が痛い目を食うに決まってんだろ」


「……へ？」


「あの男はこっちが痛めつければそれを喜ぶような輩(やから)だ。意味分かるか？」


確かに舞子もドＭって言っていたし……。


案外、小野君に殴られて喜ぶかも。



「ん～……。何となく分かった気がするよ。早く捕まるといいね？」


「当り前だ。俺だけじゃなく、お前にまで汚ぇ体見せやがって」


｢……え？……今、何て言った？｣


あたしの耳には『お前にまで汚ぇ体見せやがって』って聞こえたんだけど。


それは空耳？聞き違い？



「普通、嫌だろ。他の男の体なんて見てんじゃねぇよ」


小野君はぶっきら棒にそう言うと、プイッとあたしから顔を反らした。



ねぇ、小野君。


この間は暗くて小野君の顔が良く見えなかったけど、今日はよく見えるよ。


小野君の横顔が少しだけ赤くなっている気がする。



「でもあの時、顔を両手で塞ぐのはバカだって言ってなかった？」


「それはそれ、これはこれだ」


「何かよく分かんない」


クスクスと笑うあたしの横で、小野君は「チッ」と舌打ちをしながらも、どこか照れ臭そうだった。