王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「遅い。お前、何してんたんだよ」
「ちょっと時間かかっちゃって……。はい、これ」
教室に戻って、袋の中からパンを取り出して差し出す。
すると、小野君は不満があるのか眉間に皺を寄せた。
「お前さ、何聞いてたの?メロンパンがねぇだろ?」
「あ……メロンパンは売り切れてて。ごめんね」
……うっ……小野君って案外記憶力がいいんだね。
メロンパンを買う前に戦線離脱したとは言えず、そんな言い訳でこの場を凌(しの)ごうとする。
「コーヒーは?」
「あー……えっとぉ……」
「売り切れてたのか?まさか、コーヒーが売り切れるわけないよな?」
言葉に詰まるあたしを見て、小野君は呆れたように溜息を吐いた。
「……パンを買うのに気をとられて忘れちゃった」
「ったく。使えない奴。で、お前は飯持ってきてんの?」
「パン買えなかったから……今日は……」
小野君のパンを買うことに必死になっているあまり、自分のパンを買うのを忘れていた。
今日はお昼抜きか。
あ~あ……、すごいお腹空いてるのになぁ……。
ガックリと肩を落としていると小野君がポイッとあたしに何かを投げた。
「それやる。その代り、あとでコーヒー買ってこい」
「え……?本当?!ありがとう!!」
お腹に当たったカレーパンを両手でキャッチして、あたしは小野君にペコペコと頭を下げた。
「今コーヒー買ってくるから待ってて!!」
「ちょっと、待て」
小野君に背中を向けて歩き出そうとした時、ガシッと腕を掴まれた。
「え……?」
振り返ると、小野くんが顎であたしに指示を送る。
「あとでいいって言っただろ?とりあえず、そこに座って食え」
「本当に後で良いの?」
「いい。お前、腹減ってるだろ?」
「……うん!!」
あたしは小野君の気が変わらないうちに、小野君の前の席に座ってもらったカレーパンを
頬張った。