のこりもの同盟

“自己紹介”も特に変わったことはなく至って普通だった｡
『この中に宇宙人未来人―｡』なんて言う人はいなかったし､たいていみんな､名前･所属している部活動･趣味など“自分自身のことを紹介”した後､一年間よろしくお願いしますなどありきたりな一言を言ってお終いだ｡たいてい初めに“自己紹介”した奴の言葉をみんな真似する｡たまにはっちゃけた男子がオリジナリティ溢れる一言を言って笑いをとったりしているが､たいていそんな命知らずなことはしない｡しないに限るのだ｡
俺自身も周りとなんら変わりのない“自己紹介”をした｡違っていたのは周りの反応だ｡
俺が話し始めた途端
『おい､あいつだぜ｡』
『あの人って…｡』とひそひそ話す声が聞こえてきてそれが次第に小さな笑い声に変わる｡
別にこんなことは慣れっこなのだから構わないのだけど､声を潜めるという配慮をしてくれるのなら俺に聞こえないようにするという配慮もしてほしい｡