空と君へ…
エレベーターから降りて家に向かう。

いつものように鍵を挿し、回す。

「…あれ」

開かない。

次は鍵を逆に回す。

「…開いた」

鍵、閉め忘れたのかな?

そう思いながらドアを開けた。

するとそこには、見たくなかった父の靴と知らない女のブーツがあった。

「……………」

無言で上がり、足早に部屋に向かう。

「陽菜~!久しぶりだな!」

「あれが娘??つーかミアじゃん!!」

「だから言ったろ~?」

「ホントだったんだぁ~」

ソファーに座り、好き放題に飲んだり食べたりしながら、仲良さそうに二人で話している。

「……何しに来たの」

睨みながら私が問うと、

「またお金貸して??」

とふざけた事をぬかしやがった。

「…ウザイ。消えろ」

「あのなぁ、仮にも父親なんだぞ??」

「あんたの事、父親だなんてもう、思ってない」

父のふざけた話し方が頭にくる。

「なんかミアのイメージと違う~」

この女も頭にくる。

「ここは私の家!私と母さんの家なの!!出てけ!!ここはあんたが来るとこじゃない!!」

ここは私が借りて、家賃も払ってる。

好き放題しやがって…。

「あんた達がどうやってこの家に入ったかは知らないけど、もう来るな!!あんたの顔なんて見たくないんだよ!!」

一気にまくし立て、玄関に二人を押し出す。

バタンと扉を閉め、鍵をかける。

「―…くっ…ふっ…」

ズルズルと滑り落ちその場で声を殺し、泣いた。
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