空と君へ…
とりあえず、自分の部屋に向かった。

ソファーやテーブルの上で散らかってる物を無視して…。

バタンと扉を閉め、母の写真を胸に抱く。

「ー…っ…母…さん」

ぽたっと、こぼれ落ちる雫。

昔はあんなんじゃなかった。
優しくて、暖かい存在だった…父。

全てを変えてしまったのは13年前のあの日…。

母が死んだ日だった。

誰よりも母を愛していた父。
だからこそ、母の死が受け入れられなかったのかもしれない。

母が死んだ日から狂ったように女遊びをしだした。
私のことはほったらかしで。

だから私は幼稚園の頃から周りに助けられながら、自分で出来ることは全てしていた。

ただ、幼稚園児だった私には何故父が帰って来ないのか、分からなかった。

小学生の高学年になった頃、フラッと父が帰って来たことがあった。

その時に聞いた。

何故、帰って来ないの?と。

すると父は、
「陽菜を見たくないから」
と言って、お金を持って出て行った。

それっきり。

小学生だった私にはキツイ一言だった。

家に帰って来なくても、実の父には変わりなかったから…。
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