空と君へ…
歌い終わり、母と優斗君を見る。

母は優しく微笑んでいて、優斗君は少し驚いた顔をしている。

優斗君どうしたんだろう?

あんな顔して。
なんか、ちょっと面白い。

そう思っていたらつい、笑ってしまっていた。

「優斗君、変な顔してる!」

くすくす笑いながら私は優斗君の顔を真似する。

我に返った優斗君が

「そんな顔してない。」

と、顔を赤くしながら言った。

それを見て、また母とくすくす笑った。

しばらく母と笑っていたら

「陽菜ちゃんの歌声、なんか天使みたい。」

突然変なことを優斗君は言い出した。

……天使?

「ひな、天使じゃないよ。」

「わかってるよ。陽菜ちゃんの歌声が天使みたいだって言ったの。」

優斗君は少し照れながら私の歌声を褒めてくれた。

「そうね。私も陽菜の歌声は天使みたいって思うわ。」

と母まで褒めてくれた。

さすがにコレは照れる。

私は、はにかみながら二人にありがとうとお礼を告げた。

「陽菜。これからもずっとお母さんに歌を聞かせてね。約束。」

「うん!ひな、約束する。」

母の大きな小指と、私の小さな小指を絡めて指きりをした。
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