想い出の中の虹
「おはよ、美羽。」


「おはよう、瞭くん。」


美羽の誕生日をあと一週間後に控えた梅雨の朝。

仕事の都合で3日ぶりの公園。


「雨、降りそうだね。」


「だね。やだな。」


ちょっぴりだけ、空を見上げるつまらなさそうな瞳。


「雨か………かたつむり……可愛いかも。……うん。可愛いかも。」


なにやら一人で納得し、頷いた。


「かたつむり、どうすんの?」


「かたつむり、モチーフにつかえる。かな、なんてね。」


小さな雑貨屋さんで働く彼女。

暇さえあれば、針を手に、可愛い小物作りに時間を費やす。


「かたつむりか………なんか、雨呼びそうじゃね?」


「そうかな?」



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