想い出の中の虹
夕飯には少し遅い午後9時。

二人だけの小さな店内に、笑い声が響く。

最後の一口を喉に流し込む。


「美味かったぁ。ごちそうさんです。」


手を合わせ、どんぶりに頭を下げる。

それを見届けると、彼女は本当に嬉しそうに微笑んだ。

そして………







「ありがと。付き合ってくれて。」










感謝の言葉がなぜだか淋しげに響く。









「聞いて良い?」


「……良いよ。何でも。」


そう応えながら、小さく唇を噛む。

それでも聞いておきたい。









選ばれた場所に込められた想いを。







< 22 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop