想い出の中の虹
たったひとつの言葉
いつの間にか上がった雨。

そして、いつもの公園。

彼女の望みはここで終わり。


「一緒にご飯食べて?」


そう告げられた今朝の公園。

真っ直ぐに見つめる瞳に、素直に頷いた。


「ん。了解。」


「ありがと。」


敢えて言わなかった、おめでとうの言葉。

まだ、違う気がしたから。

雨の中、俺の傘に二人で並び、濡れる滑り台を見つめた。

そして、今、戻ってきた公園。


雨は止んでいたけれど、滑り台はまだ濡れたまま。

いつものベンチも。


月が綺麗に照っていて、濡れたベンチを静かに照らしていたから。

だから、俺も、彼女を照らそう。

美羽が、いつも笑顔でいられるように。

哀しい想いに涙を堪えなくても良いように。






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