想い出の中の虹
「ふぁ………」


不意打ちで出てしまった欠伸。

慌てて止めたけど遅かりし……。


「………眠い?」


「まぁ………ね。」


正直に答えとこう。


「実は睡眠時間、ゼロだったりして。」


帰ってそのまま来たから。

「寝てないの?」


伸ばした細い指が、俺の頬を滑る。


「帰ってから寝るから。」

笑って頭を撫でた。


「ちゃんと寝る?」


「寝る。」


「ホントに?」


「ホントに。」


信用してなさそうにじっと見つめられ、二時間後には仕事に出るなんて口が裂けても言えない。



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