揺れる虹
「大丈夫。大丈夫だから。」


にっこり笑って俺を見上げた。


「瞭くん、大丈夫?」


笑った瞳がすぐに心配そうに揺れる。


「俺は、平気。美羽に逢えないのは困るけど、でも、しばらくだけだから。」


「うん。じゃ……今日で朝の散歩は終りかな。」


ジャングルジムに視線を移した美羽が笑って言った。


「ごめん。」


「謝らなくても良いよ?だって、瞭くん、美羽が好きでしょ?」


自分で言って、真っ赤になった。

そんな勇気に真っ直ぐに答える。


「あぁ。好きだよ。大好きだよ。」


横から抱き締めた体は小さくびくついたあと、力を緩め、真っ直ぐに俺に向かう。


「私も大好き。だから大丈夫。」





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