揺れる虹
お弁当の君
「瞭、飯食ったか?」


「食った食った。」


ゼリーの栄養補助食品を二本分。


「吸い込んだな?」


中村さんが俺のキャリーバッグを運びながら溜め息をついた。


「吸ったって良いじゃん。栄養はとれてんだからさ。」


ホテルのロビーでチェックアウトをしながら会話が弾む……。

新幹線の乗り場でも同じ会話。


「ほら、弁当買って来たぞ。」


「食ったってば。」


「吸ったんだろが。」


「煩いなぁ。食えば良いんだろ?はいはい。中で食うよ。それで良いでしょ?」


差し出された弁当を乱暴に受け取ると、バッグを手に立ち上がる。


「瞭。」


心配かけてるのはわかっている。


「すみません。大丈夫です。ちゃんと食べますから。」


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