揺れる虹
戻ってきた朝
「久しぶりです。瞭くん。」


「嫌味にしか聞こえないけど?おはよ、美羽。」


けらけら笑う美羽。


『熱下がりました。もう大丈夫。中村さんにお礼言っておいてください。社長さんにも、病院でお世話になってごめんなさい。お礼必ず言っておいてください。』


あの日の深夜、送られてきたメールに慌てて通話ボタンを押した。


「まさか社長来たの?」


『うん。ごめんなさい。どうしよう?怒られる?』


きっと興味津々で出てきたんだろう。

名前も聞き出してるに違いない。

もしや……


「まさか、社長に送ってもらったりした?」


『………ごめん。断ったんだけど……。』


にやつく社長の顔が思い浮かび、寒気がした。


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