揺れる虹
「ドラマ、撮影始まった?」



「始まったよ。昨日からね。」


どうやら、CMが一本飛んだらしく、社長の本気が向こうの社長をビビらせた。

そのおかげで、あれはデートでも何でもなく、ただの顔合わせだったと週刊誌が別の写真を載せた。

そしていなくなったマスコミとカメラ。


「美羽って意外とやるときはやっちゃうんだな。心臓止まるかと思ったよ。」


「ごめん。」


舌をぺろっと出して肩をすくめる。


「でもね、逢いたかったから。」


素直に言われて体の芯まで熱くなる。


「俺は、気が狂うほど逢いたかったからね。」


「狂っちゃう?」


面白そうに笑う。



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