揺れる虹
上がった、幕
「瞭、このあと事務所寄るから。」


マネージャーの中村さんが花束を整理しながら話を切り出す。


「事務所?なんで?撮影行くんじゃないの?」


舞台の幕が開いてから一週間。

大きな失敗もなく、なんとか盛り上がりを見せている。

体調も良い。

公演はあと三週間。

チケットも既に完売。

帰り支度をしながら今日の反省を心の中でしていた。


「写真、撮られたぞ。」


「写真?何の?」


「デートの?」


「…………何?」


心臓がバクバク鳴り始める。


「思い当たるふしは…………あるか?」


花束の整理を終え、そばにやってくる。


「とにかく、写真観てからだ。俺もまだ観てない。社長は誉めてたぞ?」


「…………誉めてた?」



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