sugar voice

-聞きたくない-菜月side




あれから私は何をするのにも上の空でしばらくぼーっとしていたら


痺れを切らした麻山先輩に'危なっかしいから早く帰れ!!'と怒鳴られて私はふらふらと部室を出て行った



――――――…‥



ガチャッ

玄関のドアを開ければすぐにリビングからパタパタとスリッパの音を鳴らしながらこちらへ向かってきた

「あら、おかえり♪早かったわねぇ」

フフッと屈託のない柔らかい笑みを浮かべるお母さん

手には野菜の切れ端のようなものを持っているのが見えて

おそらくまだ料理の途中だったのだろう

「………」

私は無言で二階へ上がろうとしたら腕を掴まれて

「ちょっと…どうしたの?もうご飯出来てるから先に食べなさい」

少し顔を向ければ相変わらずニコニコしたまま私を見ていた

「いらない」

構わず掴まれた手を振り払って階段を上がろうとするが今度は更に強く握られて


「なにがあったかは知らないけど、ご飯くらいは食べなさい。それに明日は待ちに待ったsugar nightのライブなのよ?お母さん今日は眠れそうもないわぁ♪」


お母さんが口にした言葉は私が今一番聞きたくない言葉だった


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