sugar voice




「間に合うかな…」



どうしてもこの不安だけは取り除かれない

腕時計を見れば出発してから早二時間が経過しようとしていて


もう間に合わないんじゃないかと思いさえしてきた



'まもなく~○○~○○~です。お出口右側~です'


駅員さんのアナウンスが聞こえてきて私は鞄を強く握りしめる


そんなことを考えていたらキリがない

今はライブ会場までの道のりを覚えているかということを心配するべきだ


扉が開くのとほぼ同時に駅員さんの注意も聞かず電車から飛び出すと全速力で駅のホームを走り抜けた


すれ違う人に当たったって嫌な目を向けられても構わず私は走り続ける



無我夢中だった





もうすぐ





あと少しで…






「…やな…いッ…」



気がつけば頭の中は柳井の事でいっぱいだった


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