sugar voice
重量感のある扉の音と共に、私達は会場の外へ飛び出した
取り残された3人とその他大勢(ファンの人達)は暫くの間、呆気にとられて無言で扉を見つめていた
「…あーあ、行っちゃった」
一番に口を開いたのはナツで
「カズはかくれんぼが得意だから暫く見つからないね~」
心なしか嬉しそうにクスクス笑っている
「全く…アイツは俺達の迷惑になることしかしないのかよι」
はぁ…と深い溜め息をつきながら自分の髪をグシャグシャにするシン
「残された身にもなって欲しいものですねぇ」
そう言って眼鏡を上げてニッコリ笑うヒロだが
「ヒロ…目が笑ってないよ~」
冗談っぽく笑い飛ばしてみるナツだが
「怒っているのだから仕方ありませんよ」
冷酷な目で返されて、流石に言葉がでなくなった
「なぁ、架山…お前はアイツのなんなんだ?」
ふと、シンはこの場にはいない相手に問いかけた
勿論その答えが返ってくるはずがなくて
誰にも聞かれることなく静かに消えた