sugar voice
男達は私達に考える暇なんて与えてくれる筈もなく、距離はどんどん縮まっていくばかりで
あと5メートル
バタバタバタッ
4メートル
バタバタバタッ
3メートル
バタバタバタッ
ついには手を伸ばせば捕まる距離まで詰め寄ってきて
「……ッ」
今度こそ本当に
もう駄目だ
私はギュッと目を瞑って、柳井の手をさらに強く握った
刹那
「架山こっちだ!!」
柳井が何か思い付いたように叫んで
男達の手が触れようとする直前に素早く私の手をひいた
『~っ!!』
男の手は空を切って、予期せぬ事態に一瞬怯む
その隙に柳井は強引に男達のあいだを突っ切ると、右側にある狭い通路へ走り出した