sugar voice
『あっ…おい待てッ!!』
後ろから男達の声が聞こえてきたが、止まるわけにはいかない
私は柳井の手を強く握りしめて少し薄暗い通路の奥へと消えた
―――――――――…‥
-other side-
『チッ…もういい』
リーダーである男は追いかけようとする男達を制して壁側にあった長椅子にドカッと腰掛けた
徐にズボンのポケットから煙草の箱を取り出すと、トントンと箱を叩いて煙草を取り出す
『しかし…』
勤務中だというのに煙草を吸おうとしているリーダーの顔を見て僅かに眉を潜めるが、今はそんな事を指摘する場合ではない
『良いんだよ。俺達は笹倉にここで食い止めろって言われただけなんだから』
口に煙草をくわえながら事も無げに言う
『だっ……ッ!?』
だったら尚更…と言いかけたがふと、目の前に現れた男を見て思わず口を噤んだ
「ここで食い止めてくれなきゃ困るんだけど。なぁ…田渕」
リーダーの目の前で仁王立ちしている男は威圧感たっぷりの低い声で言うと、リーダーの煙草を取り上げた
『…よぉ。笹倉』