sugar voice

田渕…とはﾘｰﾀﾞｰである男の名前で

田渕は笹倉の威圧感に怯みはしなかったが、突然現れた本人にバツが悪そうに視線を逸らす


「勤務中は煙草やめろよ」

『…分かってる』


ﾁｯと舌打ちをすると笹倉から強引に煙草を奪って乱暴にﾎﾟｹｯﾄへ突っ込んだ


それを見た笹倉はｸｸｯと笑ったが直ぐに顔つきが険しいものになる


「これだけいるのに逃げられるなんて指揮官はどうなってるんだ?」

依然として表情の変わらない田渕を見下ろしながら言う笹倉


『すいません』


「お前の失態だろう?」

『…すいません』


「どうするんだよ」

『…すいませんｯ!!』


あれこれ言い訳をいえば面倒なことになることを分かっている田渕は

苛立つ気持ちを押し込めて、ただ謝ることだけに専念していた


「はぁ…もういい。それより何故追わない?」



笹倉は眉間に皺をよせて問い掛ければ


「あー…それね」




ﾆﾔﾘと笑う奴の顔があった