sugar voice
『生憎俺達はこの場所しか仕事を頼まれていないんでね。
ここから先は追加料金頂きますよ?』
「…お前」
プツッと頭の中で何かが切れるような音がしたかと思えば
グイッ
「いい加減にしろよ…田渕」
笹倉は田渕の胸ぐらを掴んで無理やり立ち上がらせた
(やばっ…!!!)
周りの男達は慌てて止めようと試みるが
火花を散らせている二人に圧倒されて触れることさえ出来ず
結局遠巻きでヒヤヒヤしながらその様子を見ているだけだった
『俺は何一つ間違ったことは言ってないんだが』
挑発するように田渕の口は綺麗な弧を描く
「…そういうのを屁理屈って言うんだよ」
殴ってやりたい衝動を抑えて、やや顔を引きつらせながら田渕を見る
『…ったく。お前は昔から血の気が多すぎて嫌になるι
もう少し心に余裕を持ってだなぁ…』
「お前はマイペース過ぎなんだよι
というか、なんで俺が説教されなければいけないんだ」
怒りを通り越して呆れてしまい
溜め息を一つつくと、力が抜けたように田渕を掴んでいた手を離した