sugar voice




『おっ…と』



田渕はストンッと落ちるように座り込んだ



『ここで話しているより追いかけた方が良いんじゃないか?』



ポケットから再び煙草とライターを取り出すと、今度は笹倉に取り上げられることなく火を着けられた



「お前の言う台詞かアホ」

煙草の香りに眉をよせて罵声を浴びせる

『あー…そっか』



「納得しているんだったら早く行け」



『無理。もう何処行ったか分からなくなった』



「はぁ!?…あーもう!!」


髪を掻き乱して苛立っている笹倉とは反対に


可笑しそうにクスクス笑っている田渕




(田渕さんって…)


周りにいる男達は笹倉が押され気味なのを見て呆気にとられていた



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